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腐った妄想の吐きだし口。 現在は聖闘士星矢の蠍座のミロのハマっております。
2025/05/24 (Sat)04:23
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2015/06/20 (Sat)01:31
僅かな空気の変化に、ミロは食器を洗う手を止めた。
慌ててダイニングに置かれたベビーベッドに駆け寄ると、息子がふえふえと愚図り始めている。
やがて、大きな声をあげてオンギャーと泣き出した。

「よしよし、セリカ。お腹がすいたのか?」

抱き上げると手がひんやりと氷を掴んだ様に冷たい。
息子の睫毛に付いた涙は、氷の粒になって頬を転がり落ちると床にパラパラと落ちた。
乳首を口に含ませると、セリカは漸く落ち着き、一心不乱に乳を吸う。

「おや、セリカはまたご飯か?」

「俺に似て食いしん坊みたい」

「体が大きいからな。その分腹が空くんだろう」

母親の腕の中で安心しきって乳を吸う息子の顔を見るのが、カミュは何よりも好きだ。
この世で一番微笑ましい光景だと思う。

「生れ落ちてから数か月だというのに、もう凍気を操るか。お前は優秀な聖闘士になるな」

セリカの睫毛に残った雪の結晶を指で拭い、カミュは満足げに頷いた。

「そうだな。体付もがっしりしてるし、強い子に育つだろう。なにより、俺とカミュの子だからな」

「あぁ。時期が来たら、私が直々に稽古をつける。そして…」

そこで、はたとカミュは気が付いた。
白鳥座の聖衣は弟子の氷河が受け継ぐ。そして水瓶座は現在自分が所有している。
凍気使いが纏うにふさわしい聖衣が残っていない。

「アイザックの様に海闘士になる道も…いや、それではアテナに申し訳が立たない。ならば私の後を継がせ水瓶座を譲れば、だが氷河も青銅で終わる器ではない予感がする。いずれは私と並び立つ所まで…氷河に水瓶座を明け渡した後、この子に白鳥座を譲れば…いや、だが…」

真剣に悩み始めた夫にミロはぽつりと呟いた。

「カミュ、この子魚座なんだけど…」




息子の名前、セリカはカクテルから。ウォッカベースにほんの少しですがアップルジュースが入るらしいです。

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2015/06/20 (Sat)01:31
ベビーベッドの中の息子を見つめながら、カミュは己の口の端が自然と上がるのを止められなかった。

「随分と嬉しそうだな、カミュ」

「あの日のことを思い出していたのだ。ミロにプロポーズした日のことを」

「え?」

「ミロは、産まれた子供が私に似ていなかったら、諦めて去れと言ったな」

「そうだな。そんなことも言ったけ。今にして思えば笑い話もいいところだな」

涼やかな目元。
ピジョンブラッドの瞳。
頑固そうな唇。
極めつけは二股に分かれた眉。
髪の色がやや黄味が強いことを除けば、カミュの生き写しと言っていいほどだ。
産んだミロ自身、この子には本当に自分の遺伝子が入っているのかと首を傾げたくなったくらいである。
これでは、カミュをシベリアに追い返すどころか、傍にいることを後押しする形になっただろう。

「毎日カミュのことばかり考えてたせいかな」

「それはそれは。嬉しいことを言ってくれるな」

微笑みあうと、どちらからともなく唇を寄せた時だった。

病室のドアがコンコンと鳴った。
カミュはチッと舌打ちをすると、素早くミロの唇に口づけてから立ち上がった。
「はい」と短い返事をしてドアを開けたる。
と、ほぼ同時に空間が歪み「アナザーディメンション」の掛け声でカミュが姿を消す。

「カミュ!!」

「ミロ、お疲れ様。体は辛くないかい?」

唖然としているミロに、聖者の微笑みを浮かべ部屋に入ってきたのはサガだ。その後ろにばつが悪そうなカノンが続く。

「サガ!」

ミロが咎めるが、本人はどこ吹く風だ。


あの日。カミュはミロにプロポーズをすると、アテナの元に行き全てを告白した。そして、サガに「ミロを私に下さい」と頭を下げた。
サガの返事はたった一言「アナザーディメンション」で、砂漠に飛ばされたらしい。流石のカミュも危うく死にかけたとか。(後でカノンがこっそり教えてくれた。)
それ以来、サガはカミュの姿を見るとアナザーディメンションで異空間へと飛ばしてしまう。
最近は比較的近場に飛ばされるようなので、その辺は怒りが解けてきた証拠というべきだろうか。


「初めまして。私がサガおじさんですよ」

赤ん坊に呼びかけると、「あぁー」と小さな声で返事が聞こえた。

「よかったら抱いてやってくれ」

ミロは、ベッドから赤ん坊を抱き上げるとサガに差し出す。

「私が抱いても大丈夫だろうか」

口とは裏腹に、抱きたくてうずうずしていたのが丸わかりで、二人はこっそりと口の端を吊り上げた。

「サガが抱くと、より一層小さく見えるな。潰すなよ」

「そんなことするはずがあるまい。阿呆が!」

赤ん坊は大人しくサガの腕の中に納まっている。時折顔を擦ったりしながら。
それを見守る双子は顔は目じりが下がりっぱなしだ。
まさに、初孫を喜ぶジジそのものだ。

「しかし、こいつが産まれる前にサガに真実を打ち明けておいてよかったな」

やわやわのほっぺを突きながらカノンが言った。

もしも、産まれるまで父親のことを秘密にしておいたならば。
サガはカミュの姿を見るたびに星を砕いていたに違いない。

苦笑いを浮かべ、「本当、これじゃ隠しようがない」と素直に頷く。
すると、サガは納得がいかないと眉根を寄せた。

「何を言う、ミロそっくりじゃないか」

「ついに目まで悪くなったか。どう贔屓目に見ても父親似だろう」

「そんなことはない。顎の輪郭、耳の形。そしてこの手」

サガは自分の掌に赤ん坊の手を乗せるとずいと2人の前に突き出した。

「指が長い割に節が太いがっちりした手だ。この手はミロだろう」

自信満々に言い切られ、ミロは小さな手の脇に自分の手を並べてみた。
「本当だ」と呟くと、くすぐったそうにミロが微笑んだ。


おまけのおまけ

『おーい、蠍座。またお前の元カレがうちの庭に落ちているんだが。いい加減お前の父親に、不法投棄は止めろと言ってくれ!』

『申しわけない、スルト。迎えに行きたいのはやまやまなんだが、帝王切開の傷にさわるんで、面倒みてやってくれ。後でハムでも贈るから』

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2015/06/20 (Sat)01:30

”ただいま無事に産まれました。ミロも息子も元気です”

小宇宙を通じてカミュからの知らせに、あるものは感嘆の声をあげ、あるものは酒をあおり、あるものは首を傾げた。
時同じくして、五老峰で滝の前に座す老師は、青い空に向けて「新たに芽吹いた命、大切に育てるのだぞ」と祝いの言葉を述べた。
そんな中、教皇補佐として執務室に詰めていたサガは、ペンを置くと小宇宙を高め、静かに呟いた。

「アナザーディメ「この愚兄!!」」

サガがアナザーディメンションでこの場を去るよりも一瞬早く、カノンの邪魔が入り彼の目論見は失敗した。

「何をする愚弟めが!!ミロが一仕事終えたのだぞ。取り急ぎ駆けつけ、ねぎらいの言葉をかけてやるのが親という者だろう」

「バカか!今行ったところで迷惑にしかならんわ!!ミロの傍にはカミュが詰めているんだ、問題ないだろ」

「ぐぬぬぅぅ!それが気に入らんのだ!私のミロに手を出しおって!その上ヤリ逃げなど許せん。やはりここは、私が駆けつけねば」

「邪魔になるだけだと言っているだろうが!このわからず屋め!!」

「「消えろ愚弟・愚兄」」

完璧に千日戦争へと突入した双子は、互いの手を握り合い顔を突き合わせたまま小宇宙を最大限に高めはじめた。石柱にミシミシとひびが入り、天井からパラパラと破片が落ちる。
黄金聖闘士の中でもトップクラスの実力を持つ双子同士の喧嘩だ。同じ部屋で仕事をしてた神官たちは、こりゃたまらんと2人がつかみ合った時点で避難することに決め、早々に逃げ出していた。
部屋の中を緊張と静寂が満たす。
そんな中、部屋の入り口が静かに開いた。と、同時に閃光の一撃が2人の頭を撃ち抜いた。

「貴様ら、何している!!」

「「!!」」

200歳を超えているとは思えないほどの軽やかな動きでシオンは、双子に拳骨を喰らわせると部屋に轟く怒号をあげた。
2人は子供の様に涙目になると蹲って頭を擦った。その姿が型で抜いたかのように全く同じなのは流石双子というべきか。

「サガ、気持ちは分かりますがミロも出産の疲れでボロボロでしょう。日を改めてのほうが、あちらも楽だと思いますよ」

シオンの陰から現れたアテナに微笑みながら諭され、流石のサガも引きさがざるを得ない。

「仰せのままに」

深々と頭を下げたサガを、ニヤニヤ笑いをこらえながらカノンが見つめる。

「カノン、サガを止めてくれたこと、私からも礼を言います」

「勿体無きお言葉でございます」

サガに続き、カノンも頭を下げた。

「実は、2人にお願いがあってきたのです。これからシオンとお祝いの品を買いに行くのですが、その穴埋めを頼みたいのです」

「よいか、2人とも。喧嘩せずしっかり留守を守るのだぞ」

「「は、い」」

2人がぎこちなく頷いたのを確認すると、シオンとアテナは執務室を出ていった。


感嘆の声を上げたもの

「やっぱり、ミロが聖域から姿を消したのはそういう理由でしたか」

「うむ。めでたいことだな」

落ち着いて茶を啜るのは、ムウとアルデバランだ。その向かいに座ったシャカは、お茶請けのまんじゅうを頬張りながらむぅっと唇を尖らせた。

「早く子供を見せに来たまえ。まず最初に私に見せに来たならば、名付け親になってやらんこともない」

「あなたが名付け親になってしまったら、サガが血の涙を流して悔しがりますよ」

「違いない」

2人はサガが号泣しながら地面を叩きつける姿を想像して笑った。ムウは控えめにくすりと。アルデバランは豪快に。シャカだけは、つまらんとばかりに唇を尖らせたままだ。

「ん?さっきから何やら拗ねているようだが?どうしたシャカ」

「ずるい」

ぽつりとシャカが漏らした言葉に、ムウとアルデバランは顔を見合わせた。

「カミュばかりずるい。私も赤子を抱きたい。柔らかな髪に頬ずりして、乳臭い匂いを嗅ぎたい」

頬杖を突き、不機嫌な幼馴染に2人同時に吹きだした。

「あなたが子供好きだなんて知りませんでした」

「長い付き合いでも知らんことがあるものだな。俺も初耳だ」

「子供が好きなわけではない。赤子特有の崩れ落ちそうな感触が好きなんだ」

2人にからかわれてシャカの機嫌はますます悪くなる。ムウは拗ねてしまった幼馴染のために、とっておきの茶菓子を出すため席を立った。



酒を煽る者

堅物にしては珍しく、シュラは昼間からワインを開けた。同じテーブルには腐れ縁であるアフロディーテとデスマスクの姿がある。

「全く、処女神であるアテナに仕える身でありながら、ふしだらな…。俺はミロをそんな風に教育した覚えはない。挙句に、相手は同じく聖闘士のカミュだなんて、俺は、俺は…」

グズグズと鼻を啜りながら、シュラはワインのグラスを煽った。

「まぁ、そう泣くなよ。シュラ。アテナもシオンのじーさんも認めてくれたんだろ。だったら万々歳じゃねーか。それにしても、ミロはともかく、カミュがやらかすとはねぇ。ミロの奴、性格はお子ちゃまだが、体付は、おっと!」

デスマスクの鼻先を、真紅のバラが掠める。もちろん、投げたのはアフロディーテだ。

「デスマスク、いくら君でもミロのことを厭らしい目で見るのは止めたまえ」

不愉快そうに、酒の肴のチーズを齧ると「シュラ、君もいい加減鬱陶しい」と悲嘆にくれる同僚を切って捨てた。

「お前に分かるか!?目を掛けていた後輩二人に裏切られたんだぞ!その、その気持ちがぁわ゛がる゛がぁぁ」

意外にも泣き上戸なシュラは、机に突っ伏すとおいおいと泣きはじめた。その背をよしよしとデスマスクが撫でる。
そんな二人を横目に、アフロディーテがハンっと鼻で笑った。

「ミロがカミュを好いていたのなんて丸わかりだったじゃないか。惹かれあってる男と女が居れば、そこで何が起きるかなんてわかり切ったことだろ。だいたいねぇ、どんなに気を付けてたって出来てしまうときは出来てしまう物だよ。100%の避妊法なんてあるわけないんだから。そんなに泣き喚くくらいなら、ベッドの中まで見張っとけばよかったのに」

「おい、アフロディーテ。その辺で勘弁してやれよ。それ以上言うとシュラの奴立ち直れなくなるぞ」

やや怒り上戸の気があるアフロディーテを宥めながら、デスマスクはこっそりとため息をついた。
口では肯定しているように見えて、実はアフロディーテも怒っているのだ。二人を祝福したい気持ちと、蚊帳の外に置かれた腹立たしさを酒とシュラへの八つ当たりで紛らわせているのである。

(全く、めんどくせぇ奴らだぜ)
そう思いながらも、結局のところ二人を見捨てることは出来ないのだ。なんといっても同期だし、付き合いも情もその分深い。

「あ゛ぁぁぁー!後輩の不始末は俺の不始末だ!こうなったら切腹してアテナに詫びる」

ガバリと立ち上がると、シュラは自分の首に手刀を当てた。

「エクスカ「五月蠅い!」」

「全く、うちの子の誕生日を君なんかの命日といっしょくたにしないでくれ」

ぷりぷりと怒りながら、アフロディーテは新たなボトルを開ける。

「…アフロディーテ、止めてくれたのは嬉しいが…シュラの胸に白バラ刺さってんぞ」

助けるのが親切か、助けないのが親切か…デスマスクは悩んだ。




首を傾げたもの

(そんな、ペットに親友の名前を付けるほど寂しい思いをしていたなんて…。カミュ、気が付かなくてすまん。今度本物のミロを連れて遊びに行くからな!)
アイオリアはダンベルを握り締めながら、遠いシベリア(にいると思っている)の友を思った。

「お、産まれたか。祝いの品は何がいいかな?」

隣で腹筋をしながらアイオロスが言うと、アイオリアは「ん?」と首を傾げた。

「(これから餌代がかかるだろうから)肉とか魚とかがいいんじゃないかな?(あれ?カミュのペットは、アザラシだったか?白熊だったか?)」

「そうだな、しっかり食べていい乳を出してもらわなきゃな」

「うん、そうだね。(哺乳類という事は白熊か。ペンギンという事も考えられる?あれ??)」

微妙に噛みあわない会話をしながら、大らかな兄弟は体を鍛える。







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2015/06/14 (Sun)01:44
巡業という名目で聖域を出た俺は、故郷ミロス島にある孤児院に住み込み職員として身を寄せている。ここの子供たちは、みな辛い境遇にもかかわらず元気いっぱいだ。
毎日元気にはしゃぎまわる子供たちを見ていると、こちらも元気が湧いてくる。

お腹の子供はすくすくと順調に育っている。一昨日で7ヶ月目に突入した。
約3か月後には、この手に可愛い我が子を抱くことができる。その日が待ち遠しい。

「早く出てこい。母さんが二人分愛してあげるから、心配することは何もないぞ」

寝る前、毎晩ベッドの中でお腹を撫でながら話しかける。そうすると、安心したように胎児が腹を蹴るのだ。それがたまらなく愛おしい。

大丈夫。何があっても、母さんが守るから。元気に生まれておいで。


昼食を済ませた後、子供たちに昼寝をさせるために絵本を読むのが俺の日課だ。
子供たちをベッドに寝かしつけていると、控えめにノックの音がした。

「ミロさん、お客様が来てるわよ。中庭で待ってらっしゃるわ」

「分かりました。すぐに行きます」

返事をしたものの心当たりがない。カノンは先週来てくれたし、サガは仕事に追われて手一杯だと聞いたし…。
まさか、カミュ。
そろそろ定期報告の時期だ。いやいや、そんなはずはない。
彼が聖域にいるのはせいぜい5日前後。その間に片付けなければならないことがそれなりにある。俺に会いにこんな所まで足を運ぶ暇はないだろう。
そう思いながらも、鼓膜の奥がばくばく五月蠅い。
掌がじっとりと汗ばむ。
ドキドキしながら、中庭へと続く扉に手を掛けた。
ぎぃっと鈍い音を立てて、扉が開く。

「ミロ」

驚きのあまり、声を失った。そこには、今一番顔を会せたくない人物が立っていた。

「元気そう、だな。突然すまない。その…」

カミュの視線が、腹に注がれる。
自分でもわかるほど引き攣った笑みを浮かべると、カミュに歩み寄った。

「そっちこそ、元気そうだなカミュ。シベリアの弟子たちは元気か?アイザックと氷河だっけ?もう技の一つも出せるようになったか?そうだよな、修行を始めてもう3年目も経つしな。えぇっと、教皇にはもう定期報告はすんだのか?済ませてから着たに決まってるか。うぅんと「ミロ!」」

カミュが悲痛な面持ちでこちらを見つめる。
何か言わなきゃ。
緊張して口が渇く。唇を舌で舐め潤すがこの場を切り抜ける言葉が見つからない。


「どうして、言ってくれなかった?私には父親になる資格がないと思ったのか…」

「え、あぁ…えぇっと…勘違いしないでくれ。これはカミュとは関係ない。俺がちょっとへまして…」

「関係ないはずがないだろう!!その子はあの時の子だろう。ミロは、私が父親では不服か?だから何も言ってくれなかったのか?」

「違うって言ってるじゃないか!!帰ってくれ!!シベリアに帰って、2度と俺の前に現れないでくれ!!!」

言ってしまった。
取り返しのつかない言葉が口から出てしまった。
カミュの顔色が目に見えて変わっていく。

「…それがお前の本心でも、私はお前を愛している。せめて、子が産まれるまで傍に居させてくれないか…」

『愛してる』あの時も、彼はそういった。
一夜明けて、ベッドの中で裸のまま愛してると。
その言葉に心躍ったのは事実。でも、その言葉は仮初。
ベッドを出るまでは恋人のふり。そのルールに従っただけ。
そして、今言ってくれた『愛してる』は子供が出来たことへの責任の言葉。
間違えたらダメだ。そう自分に言い聞かせる。

「…産まれてきた子供が、ちっともカミュに似ていなかったら?そしたら諦めてくれる?」

「ミロの子供なら、すべて私の子供だ。ミロが私以外の子供を産むはずがない」

「何その自信?俺の何を知ってるの?カミュがシベリアにいる間に、他の男と遊んでるかもしれないぜ?」

「ミロは、簡単に体を差し出す女じゃない。それくらいは、分かるさ。親友…いや」

カミュは言葉を切ると、大きく深呼吸した。じっと俺の目を見つめ、ゆっくりと口を開く。

「私が愛してる女性だから」

「止めてくれ、カミュ!!責任と同情の結婚なんて真っ平ごめんだ。そんな惨めな思いをするくらいなら、一人でこの子を育ててみせる!だから、放っておいてくれ」

踵を返し、カミュに背を向けた。
これ以上、ここに居たらきっと泣いてしまう。それだけは絶対に嫌だ。
いそいで中庭を去ろうと足を踏み出すより一歩早く、カミュの腕が俺を掴んだ。
後から抱きしめられる形となり、慌ててその檻から抜け出そうと体をよじる。

「放せよ、放せ!」

「聞いてくれ、ミロ。お前が、簡単に体を許したりはしないように、私も好きでもない女とベッドを共にしたりはしない。順番が逆になってしまったが、信じてほしい。私はミロを心から愛している」

カミュの腕に力がこもる。よく見ると小刻みに震えていた。

「手紙になど頼らず、初めから直接お前に伝えればよかったんだ。そうすれば変なすれ違いは起きなかった。待たせてしまって、すまない。この命尽きる時が来るまで、傍にいてくれないか?」

胸がいっぱいになると言葉が詰まって出てこなくなるって本当だ。
嬉しくて、心臓が壊れそうなほど高鳴っていて。
でも、言葉が喉につかえて出てこないから、仕方なくコクコクと頷いた。
涙でぐちゃぐちゃになった、不細工な顔で。

「ありがとう、ミロ。愛しい人」

カミュは今まで見たこともないくらいニッコリとほほ笑むと、俺のかさついた唇に唇を重ねた。フランス人らしい情熱的なキスの嵐にカミュの意外な一面を見た。


END

肝心のベッドIN前の会話を適当に飛ばしたせいで、ミロが勘違いした経緯とかうまく纏められず(>_<)
後で加筆修正してシブの方に上げようと思います。
後は、赤ちゃん誕生後の後日談を少々考えていますので、もう少しおつきあいください。

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2015/06/12 (Fri)14:04
本日、通販で買った財布が届きました。
パイソン、白地に灰色がかった青と紫っぽいピンクと茶色のチェック柄で、「なんとなくシャイナさんぽいじゃん!」と浮かれてました。
えぇ、浮かれてましたよ。数分前まで。
財布の中身を移そうと、古い財布を開けたらお金がない( ゚Д゚)
生活費から3千円、自分のお小遣いから5千円、合わせて8千円ほどが抜かれてます。
お小遣いの方は10日に1万円崩したから間違いなく9千円入ってるの確認したし。昨日は買い物行ってないからお金使ってない。
夕方、子供がぐずるので散歩にいったけど、その時??縁側の鍵、ガタガタやれば開いちゃうからなぁ(>_<)
吃驚して自宅に置いてある生活費確かめたらそっちは手付かずだったから、やっぱり外出先で抜かれたんだろうか?
だとしたら、午前中子育て支援センター行ったからその時か?
ロッカー鍵付きじゃないし、今日は工作の日でみんなテーブルに固まっての作業だったからその気になればいくらでも…。でも、子を持つ母親がそんなことするとは思いたくないし、何よりそんな手癖の悪い人が身近にいるとか嫌だ。今日参加してたママたち、大半が子供同士が同い年だから下手したら義務教育終わるまで一緒だよ。
あぁ、鬱だ。
変な縁ができるのも嫌だけど、やっぱりお金がショックだよ。
生活費は大して打撃ないけど(それでも悔しいけど)お小遣い5千円。
欲しい本とか、化粧品とかいろいろ買う予定があったのに(:_;)

新しい財布、ケチがついちゃったな。


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プロフィール
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春乃
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