昨日は廃人のようになっていましたが、今日は少し元気になりましたので妄想( ..)φカキカキ。
現パロ、日本が舞台でカミュさんの日記という形で話を進めるつもりです。取りあえず、何も考えずに書きはじめましたので、のんびり頑張ります。



５月１５日
　追い立てられるように、私たちはこの海辺の田舎町に越してきた。築３０年の古いアパートが新しい我が家になる。ここは、元いた都会とは何もかも違う。風景、人口密度、時間の流れ方さえも。
　作家を志して五年になるが、小さな賞に引っ掛かったのが最盛期だったらしく、その後は鳴かず飛ばず。今年一年頑張ってみて、何の成果も得られないようならばきっぱりと筆を折ると決めた。新しい環境が、何らかの糸口を見つけるきっかけになってくれたらいい。
　そして、氷河にとっても。
　姉が赤ん坊の氷河を連れて義兄の元にとついだ時から、いずれ何かしらの厄災が２人の身に降りかかるのではないかと危惧していた。まさか、これほど早く、残酷な形で現実になるとは思わなかった。７つで両親と死に別れ、兄弟と無理やり引き裂かれ、下らぬ噂に付きまとわれ、居場所をなくした哀れな甥に安らぎがもたらされることを心より願う。

５月１７日
　初出勤だった。今度の職場は、車で３０分の所にある、駅前にオープンしたてのスポーツジムだ。そこのスイミングのインストラクターをすることになった。
　流石、駅周辺というだけあって開発が進んでいる。潮風が吹き、田畑に囲まれた自宅周辺とはえらい違いだ。だがそれも大通りだけであり、一本奥に入ると、昔ながらの商店街があったり、小さな公園があったりする。私はこちらの風景の方が好きだ。そのうち、氷河を連れてゆっくり散策するのも悪くない。

６月１６日
　氷河が怪我をした。本人が言うには、体育の時間に幅跳びで着地に失敗したのだという。だが、それならば学校から一言連絡があるものではないだろうか？
　怪我だけではない。体中泥まみれで、ランドセルの中まで泥が入り込み教科書が汚れていた。下校中に転んだのだと言った。だが、目が忙しなく泳いでおり、何かを隠しているのは明白だ。
　それに、風呂の後はテレビを見たり、本を読んだりして９時過ぎまで起きているのに、今日は８時前には舟を漕いでいた。明らかに何かがおかしい。
　だがここは無理に聞き出すのではなく、彼が自分から話す気になるまでじっくりと待つのが上策だろう。

６月１９日
　情けなさでため息が出た。
　氷河が、怪我の理由を漸く口にした。友達と近所の家庭菜園に盗みに入って泥棒除けの落とし穴に落ちたのだという。怪我の手当てをしてくれたのは、畑の主だそうだ。
「人は生きている以上、必ず間違いを犯す。問題はその後どうするかだ」
　そう言うと、氷河の顔色は見る見るうちに青ざめ、大粒の涙をこぼした。
「嘘をついてこめんなさい。カミュ、もうしません」
　項垂れる氷河に「宿題が終わったら、反省していなさい」と言い渡した。つまり、テレビも漫画もゲームも禁止。寝るか勉強かの二択しかない。今日は氷河の好きなアニメの放送日だ。目を丸くして、何か言いたげにこちらを見ていたが、「以上」と切り捨てた。氷河はがっくりと肩を落とし「はい」と返事をした。食事の後片付けや風呂洗いなど、いつもより真剣に手伝いをし、苦手な漢字ドリルに勤しんでいた。よく反省し、二度と繰り返すことがない事がなければいい。
　氷河が自分の罪を告白する気になった理由は、ミニトマトだそうだ。笊いっぱいに盛られた太陽の雫のようなそれは、畑の主から貰ったのだという。確かに、これが緑の枝に鈴なりになっている姿は、子供の目には魅力的に映るだろう。一つ摘まんで口の中に入れてみると、よく熟れていて甘かった。
　明日は、菓子折りを持って畑の主に謝りにいかねばならない。


取りあえずは、ここまで。
さて、次はカノ男の娘計画をいじくりまわしてこようっと。

[2回]