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腐った妄想の吐きだし口。 現在は聖闘士星矢の蠍座のミロのハマっております。
2025/05/23 (Fri)22:46
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2016/01/26 (Tue)10:33
バンプの「天体観測」が好きすぎて、どのジャンルでも一度はネタにしています。そういえばカミュミロではまだでした。ということで、仕事帰りに妄想。
 
 午前一時五十七分。本来ならばとっくに眠っている時間。闘技場の裏手の森を迷うことなく突き進む。今宵は月もなく、僅かな星の光は木々に遮られているが、そんなことは問題ではない。日ごろからの訓練の賜物で、非常に夜目が利くのでぶつかるどころか、躓くことすらなく目的地まで真っ直ぐに走っていける。
 森を抜けると、開けた丘に出る。おかの頂上まで一気に駆け上って辺りを見回し、ため息をついた。

「…遅刻か」


 腕時計を確認すれば長針が十二にピタリと重なり、午前二時を回ったところだ。なのに、親友の姿はない。
 だから一緒に行こうと言ったのに。
 森の奥の丘は、この聖域で二番目に星が綺麗に見えるとっておきのスポットだ。けれどわざわざこんな所まで来なくても、聖域では星が綺麗に見える場所はいくらでもある。ここは二人だけの特等席なのだ。
 いつもならば、どちらかの宮で待ち合わせをして一緒に出掛けるのに、今日に限って別がいいとミロが言いだした。理由を尋ねても『何となく』としか言わず、釈然としないまま了承したのだった。

「おーい、待たせたな!」

 丘の裾野から、ミロが駆け上がってくる。いつもと同じ「なんだそれは」と言いたくなるほどの荷物を背負い込んで。

「遅刻だぞ、ミロ」

「もう、細かい男だなキミは。たった二分くらい大目に見ろよ」

 少し頬を膨らませながら、ミロは鞄から毛布を取り出した。水筒と夜食と小さなラジオ。天体観測に来たというのに、望遠鏡も図鑑も星座早見版すら持っていないところが彼らしい。

「カミュ、寒い」

「相変わらずお前は軟弱だな」

「違う、カミュがおかしいんだ。あんな雪と氷しかない場所にずっといるから」

 ぶつくさと文句を言うミロに、苦笑しながら一緒に毛布にくるまる。私よりもミロの方が体温が高いから、温かい思いをしているのは私の方だ。彼は、水筒から温かいココア(匂いで分かる)を一口飲むと、こちらに回してくれた。

「極大にはまだ時間があるが、今の時間帯でもそこそこの数が流れるだろう」

 ミロが用意してくれたサンドイッチを齧りながら、空から振ってくる星の数を数えた。いつもは、寒くないようにぴったりとくっついているのに、今日のミロは落ち着きがない。離れたかと思うと小指の先ほどの隙間を作る。けれどすぐに引っ付いてくる。その繰り返しだ。どうしたと口を開きかけて、遮られた。ミロが天に輝く星の一つを指さして聞いた。

「なぁ、カミュ。あの星は何?」

「あれは双子座の一等星カストルだな」

 私は図鑑を開いて、ミロに見せた。それから双子座を構成している星の説明、神話を簡単に語った。ミロは星と図鑑とを見比べながら、興味深そうに耳を傾けていた。

「サガはさ、片割れを探しに行ったのかな?」

「ん?」

「双子座の聖闘士なら、もしかしたら双子だったかもしれないだろ。サガが聖域からいなくなったのは、生き別れた兄弟を探しに行ったのかもしれない。死んだ兄を思って死の国に行こうとしたポルクスみたいに」

「…サガは責任感の強い男だ。例え肉親を捜しに行くのだとしても、黙っていなくなるようなまねはしない」

「でも、何か理由があったのかもしれん。誰にも言えないような!」

 必死で捲し立てるミロに驚いて目を丸くする。ミロは、ハッと我に返ると力なく視線を地面へと落とした。

「すまん、変なことを言った。忘れてくれ」

「どうした?今日のミロはおかしいぞ」

 私よりも一回り小さな体が小刻みに震えている。問い詰めようにも、ミロは頑なに口を閉ざしたままだ。仕方なく私も追及は諦め、星空へと視線を戻した。ラジオからは場違いなほど明るい音楽が流れ、対照的に空からは厳かな星の涙が流れていた。


 この時の私は知らなかった。
 すぐそばの未来も、ミロの行動の理由も、それから自分の気持ちさえも。

 次の日、私は教皇から勅命を受けた。
 シベリアの永久凍土の中から発見された白鳥座の聖闘士を育てるようにと。



続く

 別にこの話、サガは関係ないです。
 時期的に冬の話にしたくて、ちょうど双子座流星群が12月だったので使っただけなので(;^ω^)
さて、次はミロ編書くぞ!

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こんにちは
ご無沙汰しております、明々です。
パラ銀ではまたもや差し入れを頂きましてありがとうございました!(お礼を申し上げていなかった気がして><)またお会いできるの楽しみにしてます!
BUMPの天体観測、私も大好きな曲なので、読みながら歌詞となぞらえつつわくわくしておりました。
冬の夜のツンとして正常な空気の中ふたりで夜空を見上げるカミュとミロを想像すると胸が熱くなります……。
ミロの心の内がとても気になる続き、楽しみにしております!
明々 2016/01/26(Tue)12:33 編集
Re:こんにちは
どうも、ご無沙汰しております。パラ銀ではお世話様でした。
コメントありがとうございます。「天体観測」は思春期ど真ん中な感じが好きです(≧▽≦)あの雰囲気が壊れていないといいんですけど。ミロ視点はただいま作成中ですが、少しでも気に入ってくださると嬉しいです。
ではまたお会いできる日をたのしみにしております。
春乃 2016/01/28(Thu)14:57
無題
あー! この曲、私も大好きです!!
まだこのお話での二人は10代前半の少年なのですね
一回り小さいとかたぎる!ハアハア
私も子供時は、ミロのが小さい派?推しなので、好み設定だ
いなくなったサガに思いを馳せるミロりん、ツラい(。´Д⊂)
対して、どこまでも現実的でドライなカミュくんwww
対比がいいですよね、この二人は(^-^)
くっついたり離れたり、もじもじしている様子の仔ミロたまらん❗
これは恋の予感でしょうか(*≧∀≦*) ワクワク
離ればなれが決まった二人の今後から目が離せなくなりそうです。
続き楽しみ~❤ 頑張ってください\(^o^)/
ヒゲ 2016/03/09(Wed)18:35 編集
Re:無題
私には珍しく、ミロ→カミュです。
ミロがそわそわしていた訳はミロ視点で明らかに…なるんですけど纏まらない(´-ω-`)
もうずいぶんと時間が開いてしまいましたが、続きを書けたら支部の方にまとめて上げなおす予定です。
春乃 2016/04/09(Sat)23:01
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