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腐った妄想の吐きだし口。 現在は聖闘士星矢の蠍座のミロのハマっております。
2025/05/24 (Sat)00:11
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2016/04/09 (Sat)23:36
このところブログサボりまくりでした。本当、ネタは浮かぶんだけど文章にする気力がなくて(=_=)
 ミロとカミュの出会い妄想。この二人の出会いは何通り妄想しても飽きないです。

 
 孤児院から聖域と呼ばれる場所に引っ張ってこられて5日目。早くもミロは、この場所に嫌気がさして、脱走を試みた。
 日の出よりも早く起きるのは、孤児院の生活で慣れている。部屋の中を漁り、下着を2枚と薄手のシャツ、その上にセーターを着こんでコートを羽織る。手袋とマフラーも忘れずに。逃亡生活に備えて昨日夕食の際に盗み出した三つのパンと一切れのハムをハンカチに包んでコートのポケットにしまった。
 孤児院からミロが持ってきたのは、最低限の下着と毛玉だらけの着古したセーターだけだった。それだって優遇された方だ。孤児たちに自分の持ち物はなく、全てが院のものだから。だから孤児のミロに、必需品として衣服を、特に上質なコートを買い与えてくれた聖域の人々はきっと悪い人ではないのだろう。何が嫌だったのかと聞かれると、はっきりとはわからない。だた何かを決めつけられるような、大人たちの視線や気配に子供ながらも異様なものを感じ取ったのだ。
 『ゴメンね』と呟き、ミロはそっと窓から外へと飛び出した。
 窓の外には薄暗い森が広がっている。よく分からないけれど、ここを抜ければ街に出れる気がした。
 夢中で走った。途中、何度も木の根っこにつまずいて転んだ。元々継だらけのズボンは簡単に破れて、膝に血が滲んだ。ミロの瞳に涙が浮かぶ。だが、ここから逃げるためには泣いている暇はない。泥だらけの手で、瞼を擦ると土のせいで余計に目が痛くなった。けれども必死で涙を止めるとミロはまた駆け出した。道なんてないけれど、兎に角自分が信じる方角へと必死で足を動かした。
 息も上がり、足が痛くて歩くのがやっとになった頃、大きな泉へとたどり着いた。
 食料は用意していても飲み物は用意していなかったミロは、犬のように泉に顔を付けると無我夢中で水を飲んだ。十分にのどを潤し、ほっと一息ついて辺りを見回すと木の影からこちらを見ている自分と同じくらいの子供と目が合った。

 ありえない。
 それが真っ先に頭に浮かんだ言葉だった。
 この真冬に、薄手のシャツに半ズボン。まるっきり春の装いだ。辛うじて首に巻かれたマフラーが冬の名残りに見えた。
 ミロは体を起こすと、一目散に子供に駆け寄った。
 
「きみ、どうしたの!そんなかっこじゃかぜをひくよ」

 ミロは驚いて尋ねたが、目の前の子供は不思議そうに首を傾げるだけだ。言葉が通じないのか、それとも耳が聞こえないのか?
 ミロはじれったくなって、着ていたコートを脱いで子供の肩にかけてやった。子供は吃驚してコートを脱ぐと、ミロに向かって何かを言っていたが、聞いたこともない言葉だった。どうやら、外国から来たらしい。

「いいから、きてて。すてごのおれでも、こんなかっこうでそとにだされたことないのに…。きみ、ひどいくらしをしてたんだね」

 よく見るとこどものかおは青白く、手足も自分より細くて体つきもこじんまりしている。ミロはその子が不憫で堪らなくなって、コートのポケットに手をつっこむとパンを貴重な食料を渡した。それから無理やりもう一度コートを着させた。
 子供はますます困った顔をしたが、今度は無理に返そうとはしなかった。だぼついたコートを羽織り、手にしたパンの匂いを嗅いだ。

『あの、ありがとう…。これ、たべられる、んだよね?』

 孤児院育ちのミロは知らなかったが、子供の着ている服はフランスでは有名なブランド物だった。子供の髪から香る匂いは上質なシャンプーのものだし、顔色も青白く見える割に肌艶は良い。つまり、この子はミロのように貧しい孤児などではなく、良家の坊ちゃんだった。
 ミロから押し付けられたパンを不審な目で見る子供。だが、ミロの目には子供がエサを前に飢えた仔犬のように映っていた。

「おなかいいぱいたべていいんだよ」

 子供はミロとパンを交互に見ると、仕方なさそうにそれを一口齧って見せた。一日たって固くなったパンをもそもそと咀嚼し、ごくりと飲み込む。今まで食べた中で一番まずいパンだった。それなのに、ミロがあまりにキラキラした目で見つめてくるので、子供はどうしたらいいのか分からず、眉をハノ字にして首を傾げた。
 その時だった。

『カミュ、こんなところにいたのかい?』

 遠くの方から、耳慣れない言葉が聞こえた。その声は聞き覚えがある声だった。
 ミロの野性的な勘が、”危険だ”と告げていた。ミロは慌ててくるりと踵を返すと、逃げ出そうと地面を蹴った…つもりだった。

『ところでミロ、どうして君がここにいるのかな?』

 体が宙に浮く。ぎこちなく振り返ると、ニコニコと笑ってそこに立っていたのはアイオロス。ミロがこの聖域にやってきて初めて出会った”聖闘士”である。

 こうしてミロの脱走騒動は幕を閉じた。聖域へと連れ戻されたミロはこってりと絞られ、大粒の涙を流して反省文を書かされた。

END


 実はこの話、2月に書きはじめたんだけど長いこと放置で季節がずれちゃった(;^ω^)

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無題
可愛い、そして今後が気になる。
出会いは何通りでも考えるの楽しいって、わかります~❤
コレを読んでいたら、私も何か書きたくなって来ましたです(^-^)
坊っちゃんカムと貧乏っちゃんミロ……いい設定だ~
文章書く気力ないのは、忙しいからかもしれませんね
続きは楽しみですが、ご無理はされませんよう(>_<)
ヒゲ 2016/04/11(Mon)13:01 編集
むむぅ~(-_-;)
続き読みたい!ってなりましたが、「END」って事は"出合い方のみのお話"って事なんでしょうか?
うわぁ(>_<)うわぁ(>_<)それからの二人がメッチャ気になる~!!!(>_<)
尾羽っSUN 2016/04/23(Sat)11:56 編集
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