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腐った妄想の吐きだし口。 現在は聖闘士星矢の蠍座のミロのハマっております。
2025/05/25 (Sun)17:24
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2015/06/26 (Fri)13:01
今日の夕食は双子宮に招かれた。
普段は、白銀たちが住んでいる住宅地のはずれにある小さな平屋を住みかとしているが、時々兄の兄弟ごっこに付き合わされる。
穏やかな談笑、なんて俺たちの間にあるわけはないので、大抵は俺の生活態度に対するサガの愚痴だ。本人は説教のつもりらしいが、聞く気はない。ほんの数分先に生まれただけの奴に兄貴面されるなんて迷惑だ。



「しかし、ミロがお前に懐くとはな」

サラダを突きながら、サガは意外だと目を丸くした。

「好きで懐かれてるんじゃない。いい迷惑だ」

煮込み料理を口に運びながら、今日もまたミロに穏やかな一時を邪魔されたことを思い出す。
なれとは恐ろしいもので、あんなに邪険に思っていたのに、最近はそんなに気にならなくなった。
それどころか、自分の名前まで教えてしまうとは…林檎で懐柔されたか。
時々、ミロは持参した林檎を半分よこす。そして、決まって自分は少し齧ると大事そうにハンカチで包んでカバンにしまうのだ。よほど林檎が好きに違いない。

あれ?でもあいつ、林檎をつまみ食いしてる割に全然太らないな。

相変わらず、ミロの体は出会った当初と同じ鶏がらだ。聖域の食事は、聖闘士の為に栄養のバランスに気を配っているのに。

「なぁ、あいつなんであんなに痩せっぽちなんだ?」

サガは途端に顔を曇らせ、芝居がかった動きでフォークを置いた。

「あの子は、可哀そうな子でね」

出た、サガの”可哀そうな子でね”。
お前、その台詞を吐くとき、自分がどんな顔してるか知らないだろ。


「物凄く複雑な家庭環境で育ったらしくて、碌に食べ物も与えられずひもじい思いをしていたようだ。そのせいか、食事を用意しても全く食べようとしないのだよ。あまりにも食べないので、侍女が心配して、いつでも食べられるようにと林檎を与えたらしいんだが。それをね、ちょっとずつ齧りながら2日もかけて食べるそうだ。信じられるか?たった一つの林檎を、それも変色して、しなびた林檎だけで2日も凌ぐなんて」

「2日!」

その林檎の半分は俺の腹に入ってるわけだから、実質林檎半分で2日過ごしてることになる。
罪悪感が半端ない。
あ゛~とかう゛~とか唸りながら頭を抱えていると、サガが更なる爆弾をぶっこんできた。

「まだ4歳だというのに、食が細いにも程がある」

「4歳だと!!」

最近、女聖闘士の訓練所ーうちーに来た候補生と同じ年!?
あの子の方がミロよりも一回り半くらい大きい。どんだけ、成長遅れてるんだ!?

「そんなやつ無理して育てなくても、もっと他に手頃なのがいるんじゃないのか?」

「まぁ、そうなんだが。教皇が言うには、彼には星の導きがあるらしい。すぐに黄金になれずとも、青銅から成り上がる可能性も秘めていると」

「いやいや、あの細腕で戦士は酷だって。元の場所に…」

自分の言葉にハッとした。サガも神妙な顔で頷いている。
元の場所に帰すという事は、食事も満足に与えられない劣悪な環境に彼を帰すという事だ。
そんなところに帰れば、近い未来ミロは死ぬことになるだろう。

「何とかならんのか?」

「何とかしてやりたいが、最近は行政からの助成金も減って、どこの施設も経営が厳しい。聖域が施設に預けたとしても、後でこっそり親元に帰されることもありうるだろうな」

食べかけのサラダを見つめながら、サガは重苦しいため息を吐いた。

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2015/06/25 (Thu)21:27
「お前、またいるの」

うんざりして吐き捨てた。
今日こそはゆっくりサボろうと泉にやってくると、またしても例の子供が水面を突いて一人遊びしている。
ここ半月ほどずっとこんな感じだ。

「何度も言うけど、ここは私のお気に入りの場所なの。消えてくれる?」

威圧的な態度に出てみるが、子供はどこ吹く風で欠伸を一つ。

「お前な~。話聞け!いい加減にしないと、蹴っ飛ばすぞ」

「みろ」

「は!?なに?」

「おれのなまえ、みろ」

「で?」

それ以上は何も言わず、どうでもよさそうに水遊びを再開した。
ムカつく。
が、流石の俺でもこんな痩せっぽちに暴力をふるうのは、胸糞悪い。
かといって、場所を譲るのは癪で、結局こいつの隣に腰を下ろす羽目になる。
ミロは相変わらずの鶏がらで、今日も鼻に詰め物がしてある。でも目の下の隈と不気味なほどの青白い顔は改善された。
いつも特に騒ぐでもなく、一人で水遊びをして、時々思い出したかのように俺に話しかける。
子供にしては静かで、不気味なくらいだ。

「お前さ、何で聖域に連れてこられたわけ?」

「んーと、たたかうひとになるんだって」

「だよね。聖闘士になるためにここにきたんだよね。だったらこんなところで遊んでちゃダメじゃない?」

優しく諭してみる。

「はなぢ、でたのよ」

ミロはいつぞやかと同じように、鼻を指さす。
なるほど、きつい訓練についていけなくて追い出された口か。
そもそも、こんな棒っきれみたいな子供に戦士になれという方が無理な話だ。

「サボるならサボるで、他の場所行ってよ。邪魔なの」

何十回と言った台詞を繰り返すと、ミロは急に水遊びを止めた。

やっと、いう事を聞く気になったか!
と思いきや、ミロは濡れた手をシャツの裾で拭いた。それから、脇に置いてあったカバンをがさごぞと漁ると、林檎を取り出した。

「はんぶん、して。おねえちゃん」

「何で?」

「ひとりじゃ、たべきれない」

「だからなに?どうでもいいから、どっかいって」

ミロは林檎を差し出したまま、石像のように動かない。仕方なく林檎を半分に割ってやると、小さい方に手を伸ばした。

「ありがとう」

ぺこりと頭を下げる。もさもさの髪がばさりと垂れてモップみたいだ。

「何でお前が礼を言うの?元々お前の林檎でしょ」

「いっしょに、たべてくれるから」

「なにそれ、意味わかんない」

林檎を投げ捨てて、走り去ってしまおうかと思った。
けれど、何とも言えない不安な顔でミロがこちらを見つめるから。
それもできなくなってしまって、仕方なく仮面を半分ずらして林檎を齧る。瑞々しく、甘酸っぱい味が口の中に広がった。

「おいしいね」

「あぁ」

「たべずらくない?」

「女聖闘士はね、素顔を見られたら責任取ってもらわなきゃなんないの」

「せきにん?」

「死んでもらうか、結婚してもらうか」

ミロは絶対に分かってない口調で「たいへんなのね」と言った。
大人ぶったその言い方に思わず笑ってしまう。

半分こした林檎は、あっという間に腹に納まった。隣を見ると、三分の一も食べてないそれを、ハンカチにくるむとカバンにしまった。

「もう、いいの?」

ミロはこくりと頷いた。「だいじにとっとく」とちょっと寂しそうな顔をした。
聖域にくる子供の大半は訳有が多い。もしかしたら、この子供も碌でもない事情で聖域に送り込まれたのかもしれない。

ゴーン、ゴーンと時計台の鐘が鳴る。
ミロは、「いかなきゃ」と呟くと猫みたいな仕草で立ち上がった。カバンを肩にかけ、ゆっくりと手を振る。

「おねえちゃん、またね」

「カノン。それが私の名前」

ミロが驚いたように目を丸くした。口の中で宝物でも扱うように「かのん」と何度も繰り返す。

「かのん、またね」

何が嬉しいのかくしゃりと顔を歪めると、今度こそ手を振りその場を去って行った。

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2015/06/23 (Tue)22:41
鍛錬をサボって向かうは、闘技場の裏の森だ。
そこの奥には小さな泉があって、サボるには最適なのだ。
このかったるい仮面を外して、顔を洗いてぇ。
急ぎ足で泉に向かうと、驚いたことにそこには先客がいた。

「お前、何してるの?」

不機嫌を露わにし、後ろから声を掛けるとゆっくりと先客が振り返った。
その姿に唖然としてしまう。
だって、不自然に青白い顔に痩せこけた頬。
目の下には隈が出来ていて、目の周りは落ち窪み瞳がぎょろりとしている。
唇はかさかさで皮がむけているし、金の巻き毛も、艶が悪くパサついている。
手も足も棒っきれみたいに細くて、大きさのあっていないシャツから覗く鎖骨は浮いて見えた。
今まで見たこともないほど痩せ細った小さな子供。

「はなぢ、でたの」

子供は自分の鼻を指さしながら、たどたどしい口調で言った。
確かに鼻に詰め物がしてある。鶏ガラ過ぎる見た目に目を奪われて全然気が付かなかった。

「そうか」

子供はこくりと頷くと、水面へと視線を戻した。痛々しいほど細い指先で、ぱしゃぱしゃと水面を弾いて波打つ様子を楽しんでいるようだ。

「あのな、ここは私の秘密の場所なわけ。悪いけどどいてくれない?」

子供は、手を止めるとじっと俺の顔を見た。
見るからに不健康なのに、まん丸な目玉は深い海みたいに澄んでいてなんだか吸い込まれそうで、ごくりと唾を飲み込んだ。

「おにいちゃんと、いっしょ、いいよ」

「はぁ?お前が良くても私が嫌!」

もったいぶって何言うかと思ったら…って、こいつ今俺を”お兄ちゃん”って言った?
いや、偶然だ。偶然に決まっている。今まで誰にもばれたことはない。大人の目だって楽々欺いてきたんだ。こんな子供に見抜けるはずがない。

「失礼ね、私は女だよ」

ちょっと怒っている風に声を荒げる。子供は納得がいかないとでも言いたげに眉根を寄せると、またじっと俺の顔を見つめた。

「お、ねぇちゃん?」

「そう。女聖闘士は仮面をつけるのが決まりなの。わかった」

子供は戸惑うように首をこてんと傾げ、「んー。わかった」と返事をした。返事はしたものの「おかしいな?」とまだ悩んでいるようだ。

もうこれは、かかわらないほうがいいな。
せっかくサボりに来たのにしょうがない。

諦めて、踵を返すと「いっちゃうの?」とか細い声がしたが、無視を決め込み立ち去った。





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2015/06/23 (Tue)17:43
尾羽っSUN様から素敵なネタを頂いたので。

『一卵性の双子は縁起が悪い。
なぜならば、片方がもう一方の運気を根こそぎ吸い取ってしまうから。』

そんなつまらない迷信のせいで、俺は男に生まれながら女として生きることを強要された。
本来ならば殺されるところを、女として生きることと引き換えに生きながらえたのだから、ありがたく思えと周りは五月蠅い。別に、生かしてくれなんて頼んだ覚えはないのに。


セイ!ヤー!トゥ!!
鍛錬の声が闘技場に響く。
皆同じ仮面を被り、ある者は組手に精を出し、ある者は一心不乱に技に磨きを掛ける。
「アテナの為に」を合言葉に、鍛錬に精を出す彼女たちを横目に、欠伸を一つ。
必死に頑張っている彼女たちには悪いが、正直やる気は0一欠けらもない。
ただ、兄が聖闘士の頂点、黄金だというだけで強制的に参加させられているに過ぎないのだから。

「ほら、カノン。だらけてないでしっかり動く!!」

先輩候補生が声を張り上げるが、そんなことでやる気が出るはずもない。
気だるく「すみません」と返事をし、取りあえず形だけ取り繕う。

「まぁまぁ、そんなに怒らないでください。カノンは既に聖衣を手にしたも同然。こんな候補生に混じっての練習つまらないのでしょう」

「何たって、あのサガ様の双子の妹。私たちなど相手になるはずがない」

後でクスクスと嫌味な笑いが起きた。
殺気を纏わせてそちらを見れば、奴等は慌てて口を噤んだ。
全く、女の花園とはよく言ったもので、実際は蛇の巣窟ではないか。
群れる女は陰険なもので、敵とみなした相手を囲い込み、じわじわといびり倒すことで団結を深める。

馬鹿どもの相手がめんどくさくなった俺は、少しずつ闘技場の端へと移動すると折を見て逃げ出した。



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2015/06/20 (Sat)02:17
始めの5分見逃しちゃった。
ミロが居なくなったせいか、大した感想も浮かばなかったんですが…。話自体も特に進展なかったし。

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春乃
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